相続人は誰になる?子どもや兄弟の相続割合の決め方や揉めないための方法

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家族に万が一の事があった時、必ず相続人に降りかかってくるのが「相続手続き」。

特に日本人は、お金のハナシについて公に話せない・話さない雰囲気がありますよね。

今まで家族でお金のことについてほとんど話してこなかったのに、相続が発生した途端に故人の遺産について話し合うのは精神的にとても大変なことです。

しかし、相続手続きには10ヶ月という期限があり、あまりゆっくりもしていられません。

その時になって、相続人は誰になるのか?相続割合はいくらなのか?とアタフタしたり、最悪の場合、兄弟同士・親族同士で争うなどのトラブルが発生します。

相続は、その時になってから準備をするものではなく「皆んなが元気なうちに」「予め」準備をしておくのがベストです。

この記事では、相続についての基本でもある「相続人は誰になるのか」「相続割合はどうなるのか」をまとめました。

相続手続きを期限内に遺産相続を終わらせるにはどうやるのか?

したくない家族内での争いを避けるにはどうしたら良いのか?の参考にしてください。

Luna
Luna

その日を境に、口も聞かなくなった兄弟。

思いもよらない莫大な相続税の支払いのため借入…。

様々なケースをみてきました。家族でしっかり話ましょう!

相続人は誰?

もし、家族に万が一の事があった時のことを想像した事がありますか?

もし、自分に万が一の事があった時のことを想像した事がありますか?

大切な家族だからこそ、考える・話し合う必要があります。

相続が発生した時に、まず明らかにしたいのは「相続人は誰」です。

少しややこしいですが、相続人は民法上と税法上で違いますのでそのポイントも抑えながらまとめていきます。

民法上の相続人と税法上の相続人の違い

民法上の相続人と税法上の相続人は違います。

ここを混同してしまうと、「本当の相続人は誰なのか?」や「相続税はいくらになりそうか?」を間違えてしまいます。

民法上の相続人と税法上の相続人の違いを簡単にまとめると以下の通りです。

  • 民法上の相続人……遺産相続の権利がある人
  • 税法上の相続人……相続税の計算、相続税の基礎控除や非課税枠を計算する時にカウントする人

民法上の相続人は誰?

民法上の相続人には順位があり、その順位に則って相続人が決まります。

第一順位配偶者・子・実子、養子、嫡出子、認知された非嫡出子
・子には胎児も含む。
(配偶者の子を相続人にするには養子縁組が必要)
・代襲相続人である子や孫等
第2順位配偶者・父母・父母がいない場合には祖父母
・実母と養父母どちらも同時に相続人となる。
第3順位配偶者・兄弟姉妹・実子養子、半血全血問わない。
・代襲相続人である甥や姪。
参考:国税庁「民法の相続制度の概要」URL:https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kohon/souzoku/pdf/31/12.pdf

配偶者がいれば配偶者はいつの時も相続人となり、子がいれば第1順位の「配偶者と子」が相続人になります。

子がいなければ第2順位の「配偶者と父母(父母が死亡しており祖父母がいる場合は祖父母)」が相続人になります。

このように、家族構成により第3順位まで民法上の相続人が決まっています。

民法上の相続人は守らなくて良い!

一応民法上では相続人が決まっていますが、必ずこの通りに遺産分割をしないといけないというわけではありません。

昔からある「家督相続」みないな事も今の時代もOKです。

被相続人(死亡した人)が予め遺言書により、自由に相続人や相続の割合を決めることもができます。

また、相続人同士で遺産分割協議(相続人同士で遺産分割の内容や割合を決める協議)をし、決めることが出来ます。

Luna
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遺言により、家族以外の第三者に遺産分割することもできるよ!

税法上の相続人は誰?

民法上と税法上の相続人について考え方が違う理由は、相続人数が多ければ多いほど相続税の非課税枠が大きくなる仕組みが大きく関係しています。

また、より公平性を保つためであると考えられます。

税法上の相続人は、基本的には民法上の相続人と同じになりますが、以下の3点のみ民法上の相続人と変わってきます。

  1. 養子
  2. 胎児
  3. 相続放棄した人

それぞれ詳しくみていきましょう。

①民法上と税法上の相続人の違い:養子の数

民法上と税法上の相続人は、養子について相続人として何人まで相続人に含むことができるかが変わります。

【民法上の養子】……人数制限なし。養子全員相続人に含める。( 民法809条 )

【税法上の養子】……実子がいれば養子は1人まで。実子がいなければ養子は2人まで含める。(法令解釈通達第15条)

息子の妻や孫など何人も養子にいれ、基礎控除額や非課税枠を増やそうと「相続税対策」を行う人が増えたため、昭和63年に上記のように税制改正されました。

Luna
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【マメマメ知識♪】

あまりに「節税」や「税金対策」が表立って行われると、税制改正が行われる傾向に。

私たちの業界でも「節税」や「税金対策」はNGワードです。

②民法上と税法上の相続人の違い:胎児

民法上と税法上の相続人では、胎児相続人になるか否かが変わります。

【民法上の胎児】……相続人に含める。ただし、死産だった場合は遡り、初めからいないものとする。(民法886)

【税法上の胎児】……相続税の申告までに生まれてない場合は相続人に含まない。出生後に修正申告をする。(法令解釈通達第15条)

民法上の相続権に矛盾を感じませんか?胎児の時にあった相続権ですが死亡して生まれると相続権がなくなる。

結局のところは、胎児が生きて生まれてからやっと権利能力が確定することとなります。

③民法上と税法上の相続人の違い:相続放棄した人

民法上と税法上の相続人では、相続放棄した人を相続人とするか否かが変わります。

【民法上の胎児】……相続人に含めない。(民法886条)

【税法上の胎児】……相続人に含める。(法令解釈通達第15条)

税法上では相続放棄した人も相続に含まれるのでありがたいですね。

基礎控除が相続人1人増えるごとに600万円多くなります。

Luna
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■相続財産の基礎控除の計算■

3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

この金額までは相続税がかからないよ♪

相続割合はどうなる?

「相続人は誰か」の次に、相続割合を確認します。

様々なパターンの相続割合をみていきましょう。

相続人法定相続分留意事項
配偶者と子配偶者:1/2
子:1/2
子が複数人の場合1/2を均等に分ける。
ex.子が3人であれば1/6ずつ。
配偶者と父母配偶者:2/3
父母:1/3
父(母)のみなら父(母)1/2。
父母いるときは1/2を均等に分ける。
配偶者と兄弟姉妹配偶者:3/4
兄弟姉妹:1/4
兄弟姉妹が複数人の場合均等に分ける。
配偶者のみ100%
子のみ100%子が複数人の場合均等に分ける。
父母のみ100%父(母)のみなら父(母)1/2。
父母いるときは1/2を均等に分ける。
兄弟姉妹のみ100%兄弟姉妹が複数人の場合均等に分ける。

全てのパターンを網羅すれば、上記のようになります。

既にお伝えした通り、この相続割合は守らなくてよく、遺言や遺産分割協議で割合を決めることができます。

ただし、遺留分には気をつけなければいけません。

相続割合遺留分制度には要注意!

相続割合は遺言により割合を好きに決められるとお話ししましたが、「遺留分制度」には注意が必要です。

遺留分とは、法律で守られている相続人の相続割合のことをいいます。

遺留分は以下の通りです。

相続人遺留分
配偶者と子配偶者:1/4
子:1/
4
配偶者と父母配偶者:1/3
父母:1/
5
配偶者と兄弟姉妹配偶者:3/4
兄弟姉妹:1/4
配偶者のみ1/2
子のみ1/2
父母のみ1/2
兄弟姉妹のみなし
Luna
Luna

遺留分はおおよそ、法定相続分の1/2!

遺留分制度は、遺言などで遺留分の侵害があった場合には相続人は他の相続人に対し「遺留分請求」をする事ができます。

せっかくお金を払って準備した遺言も遺留分請求をされてしまえば無効になってしまいますので、遺言作成の際には遺留分に十分に注意した方が良いです。

ただし、遺産分割協議後には遺留分の請求は出来ません。

遺産分割で「争族」にならないためにできる事

「争族」という言葉を聞かれたことはありますか?

相続発生時に遺産分割を巡って相続人同士が争うことです。

相続、遺産分割協議をキッカケに疎遠になってしまった兄弟姉妹、親戚……。

それに苦しむ人の姿を私はたくさん見てきました。

それは、本当に心が痛いものです。

ここからは、皆さんのご家族が「争族」にならないための対策を紹介していきます。

【超大事】「争族」になる可能性はどこの家庭にもある

争族になる可能性は、どこの家庭でもあり得る話です。

「うちは家族が仲良いから」「うちは争うほどお金がないから」なんて関係ありません。

遺産が少ないほど争族となっているケースもすくなくありません。

実際に令和2年の遺産の価格別調停件数のデータを見ると、遺産が1億円や5億円ある家族よりも遺産が1,000万円や5,000万円の家族の方が裁判沙汰となっているケースが多いのです。

参考⇨司法統計年報(家事事件)第53表「遺産分割事件のうち容認・調停成立件数」

令和2年では、遺産分割に係る調停件数のうち34%が遺産総額1000万円以下のケース。

42%が遺産総額5,000万円のケースとなっており、なんと77%が遺産総額5,000万円以下の家族が争族となっているのです。

相続税の心配も必要ですが同時に遺産分割を巡って揉め事が起こる可能性についても考えていきたいですよね。

相続で争族にならないために

相続をキッカケに争族にならないために、今から準備できる事は4つ。

【今からできる争族対策4つ】

  1. 家族でとことん相続の話をしておく
  2. 遺言を書く
  3. 生命保険を活用する
  4. 生前贈与を活用しておく

この4つの中でも一番大事なのは「家族でとことん相続の話をしておく」という事。

これが出来ている家族は、まず争族に発展する事がないです。

「生きてるときに相続の話なんて出来ない」とおっしゃられる人も多いですが、そんな時は第三者の力を利用すると良いです。

各金融機関が行なっている相続セミナー、税理士やFPなど専門家、争族がテーマの映画や本などでも良いでしょう。

家族でしっかり意識して考えを擦り合わせておくことが一番大事です。

①争族にならないためにできる事:遺言を書く

遺言は、争族などのトラブル対策にとても効果的です。

生前に自分の遺産分割の指定ができるので、相続人同士で何を誰それにという話し合いをしなくて済みます。

そして、相続人は遺言に沿って粛々と手続きを進めるだけで、通常の相続手続きを様々省略できます。

そのため、相続手続きがスピーディーに終わらせることができ、期限10ヶ月に間に合わないということも避けられます。

遺言の書き方は様々な方法がありますが、自筆遺言は書式を間違っていて無効になったり、しまい込んだ場所がどこだか分からなくなる恐れがあります。

また、自筆証書遺言は相続人に見つけてもらえないなんていう恐れもあります。

そういった全ての心配が解消されるのは公正証書遺言です。

手数料はかかりますが公正証書遺言をおすすめします。

ただし、遺言を書く際には「遺留分請求」に注意しましょう。

遺言で指定していても、遺留分を侵害された相続人が遺留分請求をした場合には遺言が無効になってしまいます。

争いの元ともなるので、あまりにも不公平な遺言内容にする時はよく話し合う・考えることが必要です。

②争族にならないためにできる事:生命保険を活用する

何かと保険不要論が世の中には溢れていますが、相続対策の観点からみると生命保険はメリットが大きいです。

  • 受取人を指定でき、遺留分請求の対象にならない
  • すぐに現金化できる(おおよそ5日で相続人の口座へ入金)
  • 生命保険の相続税非課税枠を設けられる
【生命保険は遺言の代わりになるし、死亡保険金は遺留分の請求対象にならない】

保険金受取人に指定した人が保険金を受け取る権利があるので、遺言のような役割を果たせます。

また、生命保険金は個人(受取人に指定された人)の固有財産として認められているので、原則遺留分請求の対象になりません。

例外となるケースもありますが、基本的には受取人に指定された方が後に遺留分請求されて受け取れなかったという事を避けることが出来ます。

【生命保険金はすぐに現金化できる】

生命保険金はすぐに現金化できるというメリットもかなり大きいです。

各金融機関は預金者の死亡を確認すると、口座を凍結します。

相続人が所定の手続きを踏まずに口座からお金をおろすと後でややこしい事になるのでオススメできません。

生命保険金は保険会社に電話連絡や郵送やりとりでスムーズにいけば約5日で現金化することが出来ます。

相続発生時には何かとお金もいることがあるので、すぐに現金化できるように死亡保険金が用意されていると相続人はかなり助かります。

【生命保険には相続非課税枠がある】

生命保険金には、相続税の非課税枠があります。

「500万円×相続人の数」までは、保険金で受け取った金額は相続税対象になりません。

通常の相続財産の基礎控除とプラスでご自身で控除枠を設けることができるのです。

例えば、法定相続人が5人のケースだと…。

■基礎控除:3,000万円×(600万円×5人)=6,000万円

■生命保険非課税枠:500万円×5人=2,500万円

の合計8,500万円までの相続財産が非課税となります。

かなり大きいですよね。

生命保険の非課税枠を活用することで、大幅に相続税の負担を軽減させる効果が期待できます。

遺産分割で争族にならないためにできる事を4つ紹介しました。

どれもとりかかるにはまず①「相続人は誰か」②「相続割合はどうなるのか」を把握する必要があり、加えて③「相続財産がいくらになるか」も把握が必要です。

そして一番大切なのは「家族でしっかり話をしておく」ということ。

あなたが大事に育て築き上げた資産。

それをきっかけに、家族の仲が悪くなったり余計に税金をとられたりなんてことがないようにしたいですよね。

まとめ

誰もが人生のうちに必ず経験するであろう「相続」。

被相続人になることも、相続人にもなります。

それをきっかけに、大切な家族、兄弟と仲が悪くなるということが想像できますか?

「仲が良いから」「争うほど財産がないから」は関係なく、記事の中でも紹介した通り年間遺産分割で裁判沙汰になっている全体の77%が5,000万円以下の総資産の家庭です。

争族にならないための方法を4つ紹介しました。

  1. 家族でとことん相続の話をしておく
  2. 遺言を書く
  3. 生命保険を活用する
  4. 生前贈与を活用しておく

どれも大事なことですが、一番大事なのは家族で相続についてコミュニケーションをとっておくこと。

家族でお金のことについて話す機会がこれまでなかった人にとったらハードルが高いでしょうが、第三者や様々なツールを利用して機会を作りましょう。

家族でお金の話ができるというのはとても大切な事です。

夫婦間はもちろんですが、小さなお子さんがいるお家でも積極的にお金の話を子どもの前でしていきましょう。

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